リモートワーク(テレワーク)をしたければ、上司を説得する必要があるかもしれません。ダニエル・モブスが、効果的な時間管理から確実なコミュニケーションまで、必要なスキルを明かします。
リモートワーキングの人気は高まっていますが、全ての人が生まれながらにリモートワークに向いているわけではありません。本社オフィスの壁を越えて活躍する用意ができている人もいれば、新しい働き方に合った計画や戦略なしに大失敗する可能性が高い人もいます。「リモートワークを検討している人は、リモートワークに伴って高まる責任と期待に対応する自分の能力に正直に向き合う必要があります」と、ITリクルートおよびスタッフ増強サービスを行う企業DaVinciTekのCEO、アンソニー・カーロ氏は言います(1)。
幸運なことに、こうしたスキルと戦略は、ほぼ全ての人が学習し身に付けることができます。成功しているリモートワーカーを見れば、彼らに共通するこうした特性を何度も目にすることでしょう。もしも自分がリモートワークに向いていると上司(あるいは自分自身)を説得しようとしているなら、次に挙げるリモートワーカーの特性のうち自分に当てはまるものがいくつあるかを、自分自身に素直に尋ねてみてください。
1. 時間を厳しく管理する
リモートで働いているからと言って、時間を好き勝手に使っていいわけではありません。上司たちは、可能な限り効果的にあなたが時間を管理することを期待しています。「目標は、オフィスにいる時と同様に応答することができ、生産性を上げられ、効率よく働けることを示すことです」と、ワークプレイスガイド『The Advantage』の著者、エマ・スー・プリンス氏は言います。
彼女は、毎週初めにタスクの優先順位をつけて、それぞれのタスクが完了するまでにどれくらいの時間がかかるか見積もる時間を取ることを推奨しています。「1週間を通して目標に対する進捗をトラッキングし、責任を持って実行するようにします。1週間の計画を1日の計画へと落とし込み、個々のタスクに集中するまとまった時間を取れれば尚よいでしょう」とプリンス氏は言います。
ニューヨークのフリーランスデザイナー、トバイアス・ファン・シュナイダー氏のおすすめ(2)は、時間管理アプリを使うことです。Toggl(3)は時間を記録してくれるだけでなく、数分ごとに時間をトラッキングするようリマインダーを送ってくれるため、効果的に使い続けることができます。「時給制かどうかにかかわらず、時間をトラッキングすることで自分が1日をどのように過ごしているかをより意識できるようになります」とシュナイダー氏は言います。
2. 仕事と遊びをはっきりと区別する
リモートスタッフは1週間に最大75時間(平均してオフィスで働く同僚よりも長い時間)働くことができる(4)と複数の研究によって示されていますが、リモートワークは毎日24時間働くという意味ではありません。常に対応可能な状態のスタッフがいることがビジネスにとって良いと考える上司もいますが、分別ある上司は、そのような状態が続くとスタッフの燃え尽きや不満を招くことを理解しています。
「仕事が好きでリモートで働いているスタッフは、ノンストップで働き続けてしまいがちです」と、『The Power of Company Culture』の著者であるクリス・ダイヤー氏は言います。「しかし、燃え尽きや不満を避けるために仕事の手を止めるための区切りが必要です。リモートワーカーは、休憩を取るべきタイミングを知ることで仕事に集中でき、最もポテンシャルの高い状態でビジネスに貢献できます」
成功するリモートワーカーは、同僚に対してオフィスアワーを設定し、Slack、Skype、メール、電話といった適切な連絡手段を明確にします。また、オフィスアワー中にコンピューターから離れる場合は同僚にその旨を伝えます。その日の業務を終了する旨は特に重要なので、必ず伝えるようにしてください。
3. 意識的にコミュニケーションを取る
「コミュニケーションはリモートワーカーにとって非常に重要なものですが、自然発生的に起こるものではありません」と、スタッフが全員リモートで働いているTarget Internetのコマーシャルディレクター、スザンナ・ロウルズ氏は言います。「顔を直接見ることができないからと言って、信頼関係を築けないということはありません。毎日同僚とのコミュニケーションのための時間を取り、それを働くときの意識に組み込むのです」
エリカ・ダワン氏とトーマス・チャモロ・プレムジック氏は、Harvard Business Review誌の記事(5)で、短いコミュニケーションを明確なコミュニケーションと同一視することに対して警告しています。「効率的であろうとする中で、コミュニケーションを取る際に使う言葉が少なくなることがあります」とダワン氏は言います。「しかし、簡潔になることで、チームメンバーがメッセージを理解しようとする無駄な時間が発生します(そして結局は誤解につながります)」
チャモロ・プレムジック氏は「他の人が自分の合図や簡潔な表現を理解してくれると決めつけないことです。媒体が何であれ、極めて明確にすることを意図してコミュニケーションに時間をかけるべきです」と補足しています。
両者はまた、明確さを確立するために、オフィスのチーム内にコミュニケーションの規範を導入することを推奨しています。そして、バーチャルの会話が予測可能になり確実になるよう、デジタルコミュニケーション用の略語(「4時間以内に返信(4HR)」や「返信不要(NNTR)」など)を作ったMerckのような企業を紹介しています。
「規範は個人レベルでも存在しうるものです。例えば応答時間や文章のスタイル、トーンの好みなどです」とダワン氏は言います。「例えば、短くて速いメッセージを好む人もいれば、長くて詳細な応答を好む人もいます。ユーモアやカジュアルさに対する好みや許容度も人によって異なります」
専門家は、媒体が何であれ、極めて明確にするという意図を持ってコミュニケーションに時間をかけることを推奨しています
4. テクノロジーに詳しくなる
既にリモートワークを検討しているなら、テクノロジーに詳しい人であることは必須であると、アンナ・ジョハンソン氏は言います。彼女はEntrepreneurに「最も無駄なことは、問題にもならないような単純なことでリモートスタッフがITチームを頻繁に独占することです」と書いています(6)。
上司はあなたがクラウドやテレビ会議、Slackなどの企業向けメッセージサービスの使い方を知っていると想定しているでしょう。しかし、知っていることが事実であっても現状に満足してはいけません。リクルートエージェントのTalentfulでマーケティング部門長を務めるトム・リビングストーン氏は、「学習し、順応する意思があると示すことは重要です。もしかしたら、物事を隙なくまとめるスキルを示すことよりももっと重要かもしれません」と述べています。
最新のリモートワークテクノロジーを採用するようにしましょう。そして、プロセスをより合理的にできるテクノロジーの活用方法があれば、恐れることなく上司に提案してみましょう。Visaのプロダクトマネージャーであるディーピナ・カピラ氏(7)は、短い動画を録画したり、生配信を行ったり、チーム向けにトレーニングセッションを行ったりといった必要がある場合、YouTube Live(8)を推奨し、「これは配信をグローバル規模に拡大できる、Google Hangoutに代わる選択肢です」と述べています。
また、「リモートチームをマネジメントしていて、チームの幸福度が知りたい場合には、Chimp or Champ(9)を試してみるのが良いでしょう」とも述べています。「毎週確認できる匿名の従業員幸福度メーターで、そのためだけにデザインされた簡単なツールです。昔の意見箱のように、チームがフィードバックを提供することもできます」
5. 連絡を取り続ける
リモートワークを始める人が最も恐れることの1つは、「しばらく会わないので忘れられてしまう」のではないかという不安です。1,100人の従業員を対象に行われた最近の研究(10)では、リモートワーカーは仲間外れにされ取り残されていると頻繁に感じていることがわかりました。何しろ、上司と会うことがないのですから、昇進や新しい任務に挑戦する機会を与えられなくなります。
対照的に、成功するリモートワーカーは、仲間としてみなされ、注目されるための方法を知っています。「自信と積極性が不可欠です」とトム・リビングストーン氏は言います。「求められる前に適切にメッセージを送り、進捗やアイデアを報告し続けることは非常に役立ちます」
重要なのは、可能な限り自分の役割に対するイニシアティブと熱意を示すことです。その方法としては、上司にプロジェクトのリーダーシップを取る意欲があると伝えることや、次の進捗報告で新しいアイデアを共有できるよう準備すること、時折クライアントからのポジティブなフィートバックを上司に共有することなどがあるでしょう。
上司の目に留まるように「存在感」を持つ方法を探しましょう。それは、同僚と積極的にアイデアを話し合ったり、自分が何に取り組んでいるか示したりできるBasecamp(11)などのプロジェクト管理システムを使うことで実現できるかもしれません。または、もっと単刀直入な方法が使えるかもしれません。RainmakersのCEOであるマイケル・ファーガソン氏は、メールのコミュニケーションに頼るのではなく、ビデオ通話をスケジューリングすることを推奨しています(12)。「そうすることでより共同作業がしやすくなります」とファーガソン氏は言います。リモートワーカーと会社にいるメンバーがお互いに顔を見ることができれば「効果的に協力できるようになり、生産性、効率性、革新性が高まります」
ダニエル・モブスは英国を拠点とするジャーナリストで、ビジネスについて執筆しています。
出典:
(1)https://www.bizjournals.com/bizjournals/how-to/human-resources/2016/02/working-remotely-isn-t-right-for-everyone.html
(2)https://www.vanschneider.com/manage-time-remote-worker
(3)https://toggl.com/
(4)https://www.bc.edu/content/dam/files/centers/cwf/research/publications/
researchreports/Bringing%20Work%20Home_Telecommuting
(5)https://hbr.org/2018/02/how-to-collaborate-effectively-if-your-team-is-remote
(6)https://www.entrepreneur.com/article/289370
(7)https://skillcrush.com/2016/10/24/remote-work-tools/
(8)https://www.youtube.com/channel/UC4R8DWoMoI7CAwX8_LjQHig
(9)http://chimporchamp.com/
(10)https://hbr.org/2017/11/a-study-of-1100-employees-found-that-remote-workers-feel-shunned-and-left-out
(11)https://basecamp.com/
(12)https://hbr.org/2018/01/stop-neglecting-remote-workers